鯨飲馬食

いろいろつまみ食いで勉強したことのメモ書き

「私たちはどう学んでいるのか」を読んで思ったこと

知識は伝わらない。教育とは知っていることを整理して伝えることではない。

学習というと、問題が既にそこにあって、正解があって、その正解を知っている人がいる、という状況で、問題の解き方を学ぶということを想像するかもしれない。しかし、僕らが普段立ち向かっているのは文脈や環境から切り離された答えのある問題ばかりではなく、正解がない、あるいは問題自体が明確でない状況が多くある。

認知科学における問題とは、望ましい状態と現状が一致していないことを指し、問題を解決するとはそれらが一致した状態にするということである。解決のために現状に何らかの操作を加えていくのだが、複数の操作をうまく順序立ててやらないといけなくて、試行錯誤して解決方法を探っていく必要がある。つまり、問題を変形しつつ、解ける問題を探索することで、解決を目指していく。

この本を読んで、文脈や環境に依存した無限のパターンの問題に対して、教育により解き方を教えられるなんて考えはおこがましいと思った。ただ、教育という相互作用の場を通して、両者が学び合い、それぞれの中での認知的変化を起こしていく。そういった協力をしながら一緒に歩んでいけると素敵だなと思った。