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いろいろつまみ食いで勉強したことのメモ書き

「聞く技術 聞いてもらう技術」を読んだ

東畑開人さんの「聞く技術 聞いてもらう技術」を読んだ。

「キク」に当てる漢字として「聞く」と「聴く」があるが、この本は「聞く」についての本である。語られていることを言葉通りに受け止める。話し手と聞き手の関係性構築の基礎となるアクションが「聞く」だが、それが意外と難しい。

実際自分が人から何か言われている時にも、裏があるんじゃないかとかそういった思いが頭の中を駆け巡り、言葉通りに聞けてないことがある。耳では聞こえてるし、言葉通り素直に聞いて受け止めればいいのに、受け止められない。後になって考えると、何で素直に聞けてなかったんだろ?って不思議ですらあるのだけど、その不思議さがポイントだということがこの本を読んでわかった。

上で「聞く」が関係性構築の基礎だと書いたけど、逆に関係性に問題が生じていると聞けないということもあり、関係性構築のために「聞く」のか、「聞く」ために関係性構築するのか、「鶏が先か、卵が先かの問題」がそこにはある。最初どっちから入るかは大変難しいけど、一旦できてしまえばあとは自然と連鎖していく。上で書いた不思議さは、関係性が構築されてしまった後ではそんなの当たり前と思えてしまうということ。

「聞く」に入るための対処方法として書かれているのは、

  • 誰か他の人に話を「聞いてもらう」ことで、自分が「聞く」余裕を作る
  • 「聞く技術 小手先編」の手法を使う

で、前者の「聞いてもらう」については、続く「聞いてもらう技術 小手先編」にとっかかりとなる具体的な手法が紹介されている。

題名には「技術」と入っていて、対処方法を伝えることが主題かと思ったけど、そうではない。誰かに話を聞いてもらい、今度は誰かの話を聞く、そうして話を聞いてもらった人が、別の誰かの話を聞く、という「聞いてもらう」「聞く」の連鎖が人と人の間で繋がっていき、関係性の構築、コミュニティの形成ができるというのが著者が目指しているところで、そのための手法は何でもいいんだよ、とにかく「聞く」「聞いてもらう」をぐるぐる回していきましょう、「聞く」「聞いてもらう」によってもたらされる価値を享受していきましょうというのがこの本で伝えようとしていることと思った。

小手先編に書かれている方法で実践で使えそうなものがいくつかあったので試してみる。特に「傷つけない言葉を考えよう」に書かれていた「ゆっくり考えてから言葉にする」は早速やっていく。